ITF(国際テニス連盟)が「デビスカップ」の運営を任せていた投資グループ Kosmosとの契約を早期に打ち切ったことを受け、KosmosがITFを訴えたことがわかった。米スポーツメディア ESPNなど複数のメディアが報じている。
2022年11月をもって現役生活に幕を下ろした元スペイン代表サッカー選手のジェラール・ピケらが設立したKosmosは、2018年に「デビスカップ」の運営権を取得し、25年間で30億ドル(約3900億円)を投資することを約束した。以来、Kosmosは従来のホーム&アウェイ方式を廃止して、サッカーワールドカップのようにグループステージを勝ち抜いた国が決勝ラウンドで一堂に会する形式に変更するなど、120年以上の歴史を誇る大会で大規模な改革を慣行してきた。ところが、2019年に初めて「デビスカップ」を運営したKosmosは、2020年大会がコロナ禍で中止となったことから契約開始からの5年間で3大会のみを実施したところで「デビスカップ」から身を引くこととなった。
ITFは今月12日にKosmosとの契約を打ち切ったことを発表し、今年の大会はITFが運営すると明かしていた。これに対して、KosmosがITFを相手に数百万ドルの訴訟を起こしたと25日に発表している。「25年間にわたる“デビスカップ”の開催に関する両者間の契約を不当に解除し、当社に損害を与えた」として、スポーツ仲裁裁判所に提訴したとのことだ。一方で、スペインのメディアによると、当事者間で合意された支払いに応じなかったとして、ITFもKosmosに対する法的措置を検討しているという。
ITFが契約解消を発表した翌日、Kosmosは声明の中で「KosmosとITFはビジネスモデルの再交渉だけでなく、ITFが要求する現在および将来の権利についても合意に至っていない」と述べていた。また、Kosmosの広報担当者はロイター通信に次のように説明している。「パンデミック時に大幅に引き下げられた投資金額はここ数年で変動し、最近再び引き上げられた。Kosmosは2022年の手数料を全額支払っているが、選手への賞金は各国からの要件が満たされた時点で、順次支払われることになっている」
これはつまり、2022年11月下旬に閉幕した前回大会に参加した選手に対して、それから2ヶ月近く経った今年1月半ばの時点でKosmosからまだ賞金が支払われていないということだ。契約解消が発表された当初、BBCの記者は、当初予定していたようなメディアとの有利な契約は実現せず、新型コロナの影響や景気後退によってKosmosは膨大な損失を抱えているという見解を示していた。
大会のフォーマットや開催地の入札プロセス、一部トップ選手の不在や集客率の悪さなど、様々な点で賛否両論を巻き起こしてきた Kosmosだが、今度は泥沼化が予想されるITFとの訴訟に手を焼くことになりそうだ。法廷での今後の展開に注目するとともに、選手たちに約束通りの賞金が支払われ、今年の「デビスカップ」が滞りなく開催されることを願いたい。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は「デビスカップ」優勝トロフィー
(Photo by Oscar J. Barroso/Europa Press via Getty Images)
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