ペン・シューアイ(中国)問題はここ2年ほど女子テニス会に暗い影を落としており、まだ正式な解決には至っていない。状況が改善しない中、WTA(女子プロテニス協会)は全てが納得いく形で収拾されない限り、中国での大会開催はないと発表した。スポーツウェブメディアSportskeedaが伝えている。
元ダブルス世界ランキング1位のペンは、2018年に中国共産党の最高幹部の一人で元副首相の張高麗氏から性的関係を強要されたと告発し、世界を驚かせた。しかしその後ペンは公共の場から姿を消した。ペンが現在どこで何をしているかについてはほとんど情報がない状態が続いている。
当局による適切な捜査が行われていない現状を中国政府の怠慢とし、WTAは中国での大会に女子選手が参加するのは安全ではないと判断している。「中国に戻ることについて、WTAの立場は変化していません。そして2023年のスケジュールは“全米オープン”までしか決定していません。中国への復帰はペンの状況が解決すること、公共の場に彼女が堂々と現れ、中国の政府高官からわいせつ行為をされたと告発することが必要です」とWTAが声明を発表したとCBS Sportsが伝えている。
さらに、WTAは今回の件についてペンと個別に会談を開きたいと申し入れていると明かした。「私たちは世界中にいるどの選手とも同じように、適切な当局によって正式な捜査がされること、そしてペンとWTAが個人的に面会し彼女の状況について話し合うことを要求しました」
WTAは昨年末に2023年シーズンの9月までの暫定スケジュールを公表したが、予想通り中国での大会開催は見送られていた。
「全豪オープン」では、「Where is Peng Shuai(ペン・シューアイはどこ?)」の抗議活動が行われると目されていて、大会の進行を妨げる可能性がある。またペンの状況をよそに中国と商業的な繋がりを持つオーストラリアテニス協会に抗議するため、活動家たちがメルボルン・パークに集まると予想されている。
活動家たちのリーダーを務めるドリュー・パブロー氏は、この問題をめぐる「緊張」と「矛盾」を見過ごすわけにはいかないと語気を強めた。「彼らにとっては残念だけれど、今後数年間彼らはこういう政治的問題を抱えることになるでしょう。僕たちはこの緊張と矛盾を気付かれないままにしてはおけない。オーストラリアテニス協会には迷惑をかけさせてもらいます」
今年の「全豪オープン」は1月16日に開幕する。昨年と同じように、大会主催者側がデモ参加者の会場入場を拒否するのか注目される。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は2022年「全豪オープン」会場での「ペン・シューアイはどこ?」Tシャツ
(Photo by James D. Morgan/Getty Images)