今シーズン創設された男女混合の国別対抗戦「ユナイテッドカップ」(オーストラリア・ブリスベン、パース、シドニー/2022年12月29日~2023年1月8日/ハードコート)最終日。第3シードのアメリカが第5シードのイタリアに完勝して初代チャンピオンとなった。ATP(男子プロテニス協会)公式ウェブサイトなどが報じている。
本大会には男女シングルスのランキングに基づき、18ヶ国が出場。まず3チームずつ6組に分かれてグループステージを戦い、その後ブリスベン、パース、シドニーの各都市に振り分けられた2組のグループトップのチーム同士が対戦。パースを制したギリシャ、ブリスベン優勝のポーランド、シドニーで勝ち抜いたアメリカの3チームと、それに次ぐ成績を収めたイタリアの合計4チームがシドニーで準決勝を戦い、アメリカが第2シードのポーランドを、イタリアが第1シードのギリシャを撃破して、決勝に進出した。各対戦ではそれぞれ男女シングルス2試合ずつと、混合ダブルス1試合が行われる。
決勝の初戦は女子のトップランカー同士の対戦。世界ランキング3位のジェシカ・ペグラ(アメリカ)は、今大会2日目に元世界2位のペトラ・クビトバ(チェコ)に敗れただけで、準決勝では世界女王イガ・シフィオンテク(ポーランド)を倒し、ここまで3勝1敗。対する世界27位のマルチナ・トレビザン(イタリア)はここまで2勝2敗だが、準決勝では世界6位のマリア・サカーリ(ギリシャ)を破るという殊勲の星を挙げていた。
ランキングで20以上も上のペグラに対し、トレビザンは最初から超攻撃的なテニスを見せ、途中0-3、2-4とリードされながらも強烈なフォアハンドショットを決めて4-4に追いつく。だが最後はペグラに素晴らしいバックハンドのダウンザラインを決められてセットを先取される。続く第2セットではペグラがアンフォーストエラーを17から7に減らし、トレビザンのミスを引き出して、最後はまたもバックハンドのダウンザラインを決め、6-4、6-2で勝利した。
第2試合では世界19位のフランシス・ティアフォー(アメリカ)が、序盤に世界23位のロレンツォ・ムゼッティ(イタリア)からブレークを奪い、握られた3度のブレークポイントはすべてしのいで6-2で第1セットを取る。ムゼッティは途中で右肩の治療を受けたが、それ以上は続けることができず途中棄権してアメリカの2勝となった。
そして男子トップランカー同士の対戦となった第3試合、世界9位のテイラー・フリッツ(アメリカ)が元世界6位のマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)からタイブレークまでもつれた第1セットを取ると、第2セットもタイブレークに。この間、ベレッティーニは9度のピンチをしのいだが、フリッツはベレッティーニに一度もブレークチャンスを与えなかった。そして第2セットのタイブレークでも最初のマッチポイントはベレッティーニに強烈なフォアハンドでしのがれるが、2度目を生かしたフリッツが7-6(4)、7-6(6)の激闘を制してアメリカの勝利を決めた。
大会を通じてフリッツとペグラは4勝1敗、ティアフォーと世界11位のマディソン・キーズ(アメリカ)は5勝0敗と、チーム全員が勝利に貢献したアメリカの強さが光った。優勝を決めたフリッツは、「勝つとみんなが僕のところに走ってきた、素晴らしい気持ちだったよ。フランシス(ティアフォー)なんかほとんど僕に頭突きをくらわす勢いだった!」と喜びをあらわに。ペグラは「みんなと過ごして、一年をこんなふうに始められて、本当に素晴らしいわ。すごく楽しかったし、忘れられない大会ね」とチームで戦う楽しさを語った。
決勝の結果は以下の通り。
アメリカ対イタリア
〇ジェシカ・ペグラ 6-4、6-2 ●マルチナ・トレビザン
〇フランシス・ティアフォー 6-2、棄権 ●ロレンツォ・ムゼッティ
〇テイラー・フリッツ 7-6(4)、7-6(6) ●マッテオ・ベレッティーニ
〇マディソン・キーズ 6-3、6-2 ●ルチア・ブロンゼッティ
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は「ユナイテッドカップ」初代チャンピオンとなったアメリカチーム
(Photo by Brendon Thorne/Getty Images)