2月24日にロシアのウクライナ侵攻が始まり、依然として不安定な情勢が続く中、元テニス選手のセルゲイ・スタコウスキー(ウクライナ)が、ロシアと戦うために軍に入隊したことがわかった。英Express紙など複数のメディアが報じている。
現在36歳のスタコウスキーは、2013年の「ウィンブルドン」2回戦でディフェンディングチャンピオンだった当時世界ランキング3位のロジャー・フェデラー(スイス)を破った選手として知られる。シングルスでは通算4つのツアータイトルを獲得し、2010年にはキャリアハイとなる世界31位を記録。今年の「全豪オープン」の予選を最後に現役から引退している。そんなスタコウスキーは先週に英スポーツメディア Sky Sportsのリモート取材に応じ、ロシアのウクライナ侵攻を受けて母国の予備役に登録し、国のために戦うつもりだと明かした。今は家族をハンガリーに避難させた上で、自身はウクライナへ向かう準備をしているという。
「軍が予備役を募集したため、戦う意志のある者は誰でも武器を手に、国土を守るために戦うことができる。もちろん僕もそのつもりだ。そのために帰ろうとしている。軍隊の経験はないけど、銃を扱った経験はある。たくさんの同胞が家族を避難させながら、命を懸けて戦うために残っているというのに、それをただ見ているわけにはいかない」
スタコウスキーによれば、当初は書類を提出した上で契約書にサインしなければウクライナ軍には入隊することができなかったが、先日その手続きが廃止されたことにより希望者は誰でも入れるようになったという。
取材中に「父と兄は外科医で、かなりストレスが溜まっているようだけど、頻繁に連絡は取っている。地下室で寝ているそうだ」と家族のことに触れた際にスタコウスキーは涙を浮かべ、画面越しにも現在の状況に対して感情的になっている様子が伺えたと伝えられている。
スタコウスキーは過去の経緯にも言及した。2014年にロシアがクリミア半島を併合してから8年間、ようやく国際社会からの支持が得られたことについて、「ウクライナ軍に大きな影響を与えていると思う。少なくとも、彼らは自分たちが孤独ではないことがわかるだろう」と話し、「メディアが要因の一つではあるけど、ロシアとの戦争は実際のところ8年もの間ずっと続いていたんだ。それなのに、この8年間はどうして誰も支援してくれなかったんだ?」と問いかけた。
「誰もこんなことが起きるなんて思っていなかったのに、起こってしまった。ヨーロッパの指導者も世界も、誰も助ける準備ができていない。将来のより良いヨーロッパのために、ウクライナでの戦いに挑む準備ができていないんだ。ウクライナが失われれば、我々は抵抗する。でも現実的に考えて、ロシアはヨーロッパからアラスカにかけて広がる人口1億4000万人の国だ。そんな大国に抵抗するのはかなり難しい」
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は今年2月、メルボルンでのスタコウスキー
(Photo by Graham Denholm/Getty Images)
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