40歳のダビド・フェレール(スペイン)は、引退後にすっかりペースを落としたとお思いだろうか。2019年に現役を引退した後、フェレールはたくさんのことに挑戦してきた。「ATP500 バルセロナ」の大会ディレクターとなったほか、「東京オリンピック」で金メダルを獲得したアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)のコーチも務めた。さらに、「ATP500 アカプルコ」の期間中はコメンテーター役を担い、母国スペインのバレンシアでは2つのテニスアカデミーの代表を務めている。
そして今、元世界ランキング3位のフェレールは次の大きな挑戦に向けて訓練している。その挑戦とは、モロッコの砂漠での7日間にわたる過酷な自転車レースだ。米テニスメディアBaselineが報じている。
「自転車に乗ることで得られる感覚、簡単に自分を外界から切り離すことができる感覚は、これまでに感じたことのないものだ。自転車に乗っていると自由に感じると言えるかな。テニスとも一つ共通点がある。それは、苦しさを楽しむことができるあの感覚だ」とフェレールはスペインのサイクリング用具会社CDCスポーツのインタビューで語った。
フェレールはおそらくモロッコでそれを多く経験するのだろう。なぜなら、このレースは気弱な人向けのものではないからだ。フェレールが出場する「タイタン・デザートマウンテン・バイクレース」は通常、アトラス山脈とサハラ砂漠を貫く600㎞のコースを自転車で走るものだ。レースの紹介によると、参加者は7,000mを超える上り坂を走り、さらに遠隔地で野営して夜を過ごす備えができていなければならない。
しかし2019年の引退から数ヶ月後に本格的に自転車に乗り始めたフェレールにとっては、これも楽しみの一部だ。もともとは緊張をほぐして友達と時間を過ごすためのくつろいだものであったが、フェレールは自分が違った類の肉体的な挑戦を楽しんでいることに気づいた。そして、彼はそれに真剣に取り組んでもいる。サイクリング関係の多くのスポンサーが、フェレールのInstagramで定期的に感謝を表明されている。
4月18日に始まる「ATP500 バルセロナ」の大会ディレクターとしての義務を終えた後、フェレールは5月8日に始まるモロッコの砂漠でのレースに加わる。その後には、6月にスペインで行われる200㎞のケブランタウエソス・レースにも参加登録をしている。面白い事実として、「ケブランタウエソス」はスペイン語で「骨を砕くもの」を意味する。フェレールはこの大会に対しても気楽に構えていないと言って間違いなさそうだ。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※2019年ズべレフ(左)と現役最後の試合となったフェレール(右)
(Photo by Alex Pantling/Getty Images)