2020年に新型コロナウイルスの感染拡大が世界を震撼させて以来、テニス界は経済的な苦境に立たされている。男子テニス界も女子テニス界も資金繰りに難渋し、選手たちは経済的に苦しんでいる。だが、コロナ以前でも、ランキングの低い選手の生活は決して楽ではなかった。
数少ないトップ選手たちが、大きな収入を得ているというのは周知の事実だ。「チケットの販売を後押ししているのはトップの3、4人の男子選手と女子選手なの」とWTA(女子テニス協会)の創立者であるテニスレジェンド、ビリー・ジーン・キング(アメリカ)は語る。
トップクラスのテニス選手は、賞金とスポンサー契約で数百万ドル(数億円)を稼ぎ出す。逆に、ランクの低い選手にはあまり手が差し伸べられていない状況だ。草の根的な資金援助や、ソーシャルメディア経由の宣伝の一貫として無料のラケットやテニスウェアを得ることができれば良いほうだ。
だが、彼らの収入のほとんどは試合に勝つことだけから得られる。世界500位以内にいる男子選手の1/4と女子選手の1/3は、昨年の収入が5万ドル(約573万円)に届かなかった。
ATP(男子プロテニス協会)のアンドレア・ガウデンツィ会長は、現在のテニス界の財政状況を次のように語った。「現状では、全体で挙げられる収益と賞金として我々が分配する金額は、下部の選手たちが費用を賄い、生計を立てるのには十分ではない」
世界ランキング127位のリアム・ブローディ(イギリス)のように、最高のトップ選手たちがより高額な賞金をもらうことに賛成する選手もいる。しかし、ブローディも自身の意見を一つの提案として明かしたことがある。「でももしかしたら、[彼らにあげる分を]ちょっと減らして、残りを分け合えたらなとは思うよ」とブローディは語った。
ITF(国際テニス連盟)のデービッド・ハガティ会長は、テニス関係団体はこれまで「より多くの選手が十分な収入を得られるように賞金を分配するべく」努力してきたと述べた。
キングは、テニスでも700〜800人の選手が生計を立てられるようになればいいと願っている。「そうなれば嬉しいわ。だって、それがNBA(アメリカのプロバスケットボールリーグ)で起こっていることだから。(野球の)メジャーリーグでもね」とキングは他のスポーツを引き合いに出し語った。
2020年頃からATPとWTAの統合案が持ち上がっており、テニス界の収入問題の解決策の一つとなる可能性がある。ガウデンツィ会長は、ATPとWTAの統合の可能性について、「私は、この2つのツールは一緒になるべきだと、共になってより強い存在になれると強く信じています」と語った。ハガティ会長も、「私たちは競争しあうべきではなく、共に外の世界と競争するべきなのです」と同調した。
先月初旬、ATPは統合に向けた金融アドバイザーとしてロスチャイルドと契約を結んだ。同様に、WTAは投資銀行のAllen & Co.をアドバイザーとして雇っている。
※為替レートは2022年1月13日時点
(WOWOWテニスワールド)
今すぐテニスがしたい!そんな時は「テニモ」
都度払いで入会金、月会費は0円、自分好みのスクールやレッスンを選んで通えるサービス。
現在、関東を中心にサービスを展開中。詳細はこちら>>